暇でお金があるなら、患い処を治した方がいいよ

暇だ暇だ、 と炎天下を雪駄鳴らして歩道を歩く。
否、 そんな暇ではない。 正直やる事結構あるのよ。
洗濯したままだった長袖のシャツにアイロンかけるとか、 くまなく部屋を掃除するとか、 レジ袋を整理するとか、 やる事あるのよ本当は。

歯の銀の被せが取れたのはもう3,4ヵ月前で、 しばらく放っておいた。
そりゃ自分の口ん中だし、 歯医者行こうかなって思ったら急な人事異動があったりで、 そのうち口臭が気になり始めて
「 もし不意に口づけでもされたらどうしよう 」 と不埒な心配をし始めた。
で、 休みに日に通院しやすいようにと家の近所の歯科医を探す午前11時。

あったあった。 ビルの2階で階段には観葉植物が植えられている。 落ち着いた外見だ。 イメージって大切じゃん。
まぁ最近の歯科医は予約制だ。
でないと 「 よくない歯医者 」 で見られるらしい。
患者にはキチンと時間を充てるようでないといけないらしい。
そりゃそうだな、 やっつけでされたら困るし。

「 すみません、 予約してないんですけど 」 と好中年を装い礼儀正しく扉をあける。
幸いこの時間の治療の予約はないらしくすんなり診察席 ( っていうのか? ) に案内される。
先生の人柄もあるのだろうが、 まァ丁寧だ。
コンシェルジュみたいな 「 ようこそ当院へ 」 みたいな静かな歓迎ぶり。

歯を削るので麻酔を注射する。
効いてくるまで歯のチェックだ。

改めて思うのだが口の中って人格だな。
銀歯とか差し歯の数って、 ほとんど歯を磨くと云う習慣をサボった証しだ。
キチンとした生活を怠ってきた証明でもあるな。
「 コイツ、 よくここまで虫歯作ってきたな 」 なんて歯医者さん腹の中でお怒りだろう。

ところで銀歯の寿命って何年くらいなんだろうな?
結構取れてるぞ。 奥歯なんかもう3代目銀歯だ。
「 すげー、 この歯医者仕事早えー 」 なんて中学生みたいに歓んでたりすると噛み合わせが悪くて、 挙句食事中にガリガリって取れたりする。
そしてそのまま放置。
削った穴の中に喰いもんが入り、 鋭利になった歯で口ん中傷つけたりして、 でうんざりしてやっと治療を受ける訳だ。
ちゃんとしろよなぁ俺、 である。

しかし、 治療費ちょいと高いな。
検査の結果、 怪しい歯が何箇所かあるのでそれをまじめに直したら結構な額になってしまう。
NASAの年間の予算に相当するだろう。俺の場合。
おまけにまたいつ転勤になるかもしれないし。 景気よく治してらんないな。

で、 さっきの麻酔が効いてきたが子供頃は唇が100倍くらいの大きさになる錯覚を覚えたが、 医学の進歩か私が老いたか微妙な痺れがあるだけだ。

で、 嫌な事を思い出した。
30年くらい前、 最寄りの駅前に新しく出来た歯科医があり、 寄ってみた。
受付のお姉ちゃんも当時の私と歳も近くカワイ娘ちゃんだ。
治療のされがいがあるというもの。 
麻酔して効いても来ないのにすぐドリルで削るから 「 イテテテ 」 なんて訴えるとその先公虫歯に直接注射の針を刺しやがって、 あれは本当に痛かった。 『 死 』を予感したよ、本気で。
「 お酒呑むでしょう? 」 なんて云ってたけどヤロー、 ただ段取り無視なだけじゃねーか。

そのちょいと前、 仕事中につまみ食いしたらそれが虫歯に刺さり悲鳴を上げた。
で、 その場にいた人から歯科医を紹介され、 仕事が終わってから行ってみた。
その歯科医は、 看護師さんが色っぽいと以前から職場で評判で治療以外の事もしてもらえるのでは、 あわよくばな期待をして行った訳で、 行ってみるとまぁ確かに2人のお姉さんとも別嬪さんだ。 
今で云う叶姉妹な感じかな。
コスプレ的な要素もある。

受付に妙な立て札があり 「 当院は催眠治療をしていて、 麻酔は打たない 」 ……と書いてある。
海外で修行もした、 免状もあるよ、 的な事も書いてある。
「 本当かぁー? 」
しかも 「 ガっちゃん 」 と呼ばれる女も登場。 「 Drスランプ 」 に出てたガジラみたいにあたまに変なカチューシャつけてし。
なんかオカルトチックなふざけたクラブみたいだ。
で、 やっぱ痛いし、 治療しながら舌打ちするし、 看護師何もさせてくれないし、 挙句銀歯すぐに取れるし。
ただのヤブ医者かよ。

あれから30年たった。 あの時のお色気看護師ももう還暦かな?
ガっちゃんはどうしたかな? と今日新しく入った銀歯を舌で確かめて、 梅雨真っ只中の灰色の空を見上げるのであった。

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